「樹林地とは?」(石川幹子・東京大学名誉教授)(1)
「樹林地とは?」(オンラインセミナー)
講師:石川幹子先生(東京大学名誉教授)

「樹林地」という、単純で曖昧な概念であるがゆえに、そこに思い込みや虚構が組み立てられ、結果的に森がなくなっている。
それに対して、私(石川)は伐採取消訴訟の意見書を3通書いた。
経緯:神宮外苑の「建国記念文庫の杜」が樹林地でないと新宿区は定義し、伐採した。
写真の左下は2023年、伐採抗議のヒューマンチェーン。
右は3年後の同じ場所で、樹木が伐採,移植,剪定されてしまっている。

伐採を許可した新宿区の定義では、「建国記念文庫の杜」は樹林地ではないということになり、伐採が可能となってしまった。
その定義によれば、神宮内苑も樹林地ではなくなり、伐採可能になってしまう。
事業者は「内苑を守るために外苑の森を伐採する」としているが、内苑も樹林地でないと社会に明言できるのか?
単なる樹林地ではなく、継承されてきた「文化」を顧みない行為。

伐採取消訴訟では、原告適格,景観,CО2などが争点になっていた。
「樹林地」はずっと争点になっていなかったが、これは最大の論点だと思う。

私は、東京都と新宿区の都市計画審議会の委員や、神宮内苑調査委員会の委員などを務めていた。
伐採許可の基準では、再開発の申請区域に樹林地は存在しない(「建国記念文庫の杜」は樹林地ではない)とされた。
事業者は環境影響評価書で、ここを森林と言っている。
それなのに新宿区長は、何故に森林でないと言えるのか。

京都議定書の森林の定義では、「建国記念文庫の杜」は森林である。

新宿区が使った定義。
樹林地は高さ5m以上の樹木が、10㎡に平均1本存在する、300㎡以上の土地。
その結果、申請区域に樹林地は存在しないとされた。

この定義は川崎市のものだが、突然 新宿区も採用するとして出てきた。
私は、川崎市が何故この定義を採用したか確認が必要だと、意見書で述べた。

私は川崎市の審議委員もしていたので、直接問い合わせた。
川崎市は、新宿区が伐採の根拠としたことを全く知らず、連絡も受けていなかった。

(川崎市は、この定義の出所を詳細に調べてくれた。【後述】)
(続く)